大河ドラマ・「鎌倉殿の13人」第五回 「兄との約束」レビューと感想
前回、いよいよ頼朝と北条家が中心となり
平家打倒の兵をあげる、というところまで行きましたが
兵の数は30人にもならない
今で言えば、小学校のクラス一つ分
しかも、何人か集団欠席がいる程度の人数ですから
どう考えても、お粗末なのですが
相手のスキを突いたことが大きかったのでしょう
平家方の代官と後見役、二人を討ち取り、大勝利
と言いたいところですが
主人公の義時は、ギリギリの段階でも
なかなか人を殺せません
何度か斬りつけ、重傷を負わせ、相手が倒れてうめいており
父から、武士の情け、一思いに、と言われても
やはり、できずに立ちすくんでしまう
結局、とどめを刺してくれたのも、
遺体から首を落としてくれたのも、父です
……これが、なかなか力がいるものらしく
刀を足で踏んで、力を込めて切り落とします
この父のことを、かわいげのある、田舎者、と書いたのが
つい前回、なんだか撤回したくなってきました
坂東武者は、やっぱり怖いです、近寄りたくありません……
戦というより、モロに「殺し合い」という感じでした
歴史ドラマとは思えない、生々しさです
ダメダメの田舎者に見えた父が、
いかにも、実戦を重ねた、大人の男に見えます
北条の館に帰ったあとで
兵をまとめ、今後の進軍の指示をするのは兄の役目です
こうなってくると、きびきびとして、水もしたたる若武者ぶり
次の北条のリーダーは、間違いなく兄
若殿、と呼びたくなるくらいの頼もしさです
……今までは、ロクに知らない頼朝を担ぎ上げて
平家に反乱を起こそう、と、ずさんな計画をまき散らし
協力を頼みに行った豪族にまで
「調子ばかりよくて、信用できない」と言われた
少年ジャンプの主役のような、明るい疫病神と
同一人物とは思えません
早い話が、この人は、「戦向き」のリーダーなのでしょう
おそらく、この人が伏線ですね
今後出てくる、「戦向き」というよりも
「戦だけ」のリーダー、義経がどれだけ厄介かを
実感させるための伏線、私はそう見ました……
兄は、そのまま戦に行き
主人公、義時は姉や義母をお寺に、いわば疎開させます
で、頼朝は
奥さんの政子たちがいなくなったドサクサに紛れて
元カノで、川を隔てたところに住んでいる
とはいえ、もうほかの人と結婚して人妻になっている
八重のところに、密会に行きます
ただ、行ったとたんに、夫が帰ってきたので
みつからないように、大慌てで逃げ出します
……頼朝って、確かにこういうところはあります
女癖が悪い、というか
確か、私が中学校くらいの頃に見た
今回の主人公、義時の奥さんに手を出す、という
最低の度が過ぎることまでやっていたように思います
これは、このドラマでは頼朝の死因も
「人妻のところに夜這いに行って、
旦那に槍で刺された」説を採用するかもしれません……
いよいよ、石橋山の戦いです
これは、頼朝が完膚なきまでの大敗で
命からがら逃げ伸びて、洞窟の中に隠れる
ところが、洞窟の中にまで追手がかかり
もはやこれまで、と思った時に
その追手が、頼朝のあまりの神々しい姿に
「この人を殺してはいけない」と思い
助けてくれる、それが梶原景時、という
伝説があるのですが
このドラマでは、なんといっても頼朝が大泉洋サンですから
これは、まずありえないだろうと思っていました
しかも、頼朝がこの大事を前にしてやったことは
八重のところに不倫未遂をしに行くことですから
情けないにもほどがあります
人格に魅了されて助ける、ということも考えられないでしょう
さあ、どうなるだろうと思ってみていたところ
第5回では、そこまで進みませんでした
洞窟に隠れているところで終わりです
ただ、その間に本当にいろいろありました
その前に、まず、どうして戦が負けたか、です
石橋山の戦いが無残な敗北になったのは
なんと、北条の父親のせい
当時の戦では、戦いの前に
双方の陣から、口達者が出てきて、全軍が聞いている前で
「大義は私にある、おまえはクズだ」と言い合う
つまり、口喧嘩から始まりました
このドラマは、こういう時代考証を崩しません
北条の兵力は、敵の10分の1
平地の戦では、不利ですから
この口げんかで挑発して、背後の山に引きずり込み
山中の戦を仕掛けようと思ったのに
なんと、北条の父は
挑発するどころか、相手に挑発されてしまい
少数で不利だというのに、北条の父が、総攻撃の命令を出してしまいます
「かかれ」の号令が出たら
もう止められません
10倍の兵から降ってくる矢に、何もできないうちにどんどん味方の兵が討ち取られ
北条一族と頼朝は、命からがら山に逃げ込みます
この頼朝がひどい
負けたのを、北条のせいにしてブチ切れる
北条を信じた自分がバカだった
だから、自分は嫌だと言ったのだ
挙句のはてに、北条の父、時政に
なんとかせい、と無茶ぶり
これを聞いて、北条の父が立ち上がろうとします
それを、そっと制するのが義時
うわぁ、怖いシーンです
だって、ドラマの最初で
この父が、敵を斬り殺し
首を刀でねじ切るシーンを見たばかりですから
思わず、頼朝黙れ
この人は、数日前に人を殺したばかり
必要なら、平気で人を殺せる人なんだぞ、と
教えてあげたくなってきます
仕方なく、父・時政と、主人公・義時は
頼朝の同族で、ちょうど同時期に
反乱を起こした、武田に助けを求めに行きますが
ここで、北条の怖すぎるホンネがちらり
父・時政は
このまま逃げようか、敵に降伏すれは、許してくれるかもしれない、と
言い出します
これを、許してくれると思いますか、と
冷静にとどめるのが、息子の義時
介殿(頼朝のことです)の首をつければ、と父
つまり、頼朝を見限って
北条がいきのこるために、頼朝を
殺してしまおう、と息子に相談しているわけです
……ああ、やっぱり
立ち上がりかけたときに、そんな気はしました
このお父さん、あの時点で完全に頼朝をヤル気だったんですね……
息子の義時がなだめると
「だって、あいつは大将の器じゃねえぞ」
……確かに、私もそう思います
というよりも、見ていた人全員がそう思ったでしょう
あれは、悪い意味でお坊ちゃん育ちが丸出しです
ここだけの話、あの頼朝を見ていると
私は、いつも必ず決まって、思い出す人がいます
ついこの間、日本中のブーイングを受けた娘の結婚に
いまだに国民の税金をつぎ込んでいる、A殿下に激似
おっと、このくらいにしておきましょう……
一方、兄の方も
ブチ切れた頼朝と一緒にいるのは嫌だったのか
頼朝が言った「本尊を持ってこい」という
ヤツアタリを口実に、そばを離れます
見送るようについてきた弟に
「介殿を頼む」
そして、何か言いかけて止めます
ですが、主人公・義時に促されると
実は、平家だの源氏だの、どうでもいい
坂東を坂東武者だけのものにする
そのてっぺんに北条が立つ
それには、どうしても頼朝の力がいる
それまで、ガマンしよう
……これが兄のホンネでした
明るくて能天気で、戦になると生き生きする
「戦闘時のリーダー」に見えた兄は
トンデモナイ、先見の明と
トンデモナイ、闇がありました
今まで、「介殿」と呼んでいた頼朝のことも
本音では「頼朝」と呼び捨てです
当時、この本名は「諱(いみな)」と呼び
ほとんど使いませんでした
この諱を、しかも呼び捨てにする、ということは
相手をかなり見下していること
軽蔑に近い思いを示します
これが、頼朝を持ち上げ、頼朝に忠節を尽くしているように見えた
兄のホンネでした
それにしても、北条一族
一言でいって、怖すぎます……
ところが、この兄は
伊藤の家人、下働きの男の手で
あっさりと暗殺されてしまいます
戦で討ち死にすることさえできませんでした
第5回は、ここまでです
今回も、唸りながら見ていました
梶原景時は、必ず特別な料理の仕方をするだろう
単に、頼朝のシンパにはしないだろうとは思っていましたが
今のところは、頭の切れる敵方の武将
一番敵に回したくない相手、という立ち位置です
今後、どうなるのか
一番の注目ではないかと思っています
それから、兄の扱いです
この人は、派手に討ち死にしそうな単細胞だと思ったら
これほどまでの、闇を隠していたとは思いませんでした
確かに、第1回で
平将門のように、坂東に新しい国を作りたい、というようなことは
言っていましたが
あっさりと、父に「最後はクビちょんばだろうが!!」と論破されていました
忘れていましたが、
確かに、兄の理想は、全くブレていなかったわけです
でも、すごいと思ったのは、そこではありません
人間観察、とでもいいましょうか
私も、石橋を叩くタイプなのでよくわかるのですが
主人公・義時のタイプというのは
失敗がない代わりに、手に入るのはそこそこの小成功だけで
次元を超えるような、大成功とは無縁なのですね
というより、細かいことが気になって
大きなビジョンを持てないのです
大きなビジョンを持てる人は
どこか、水が漏れているようなタイプ
細かいことは気にせず、夢物語のようなことを言い出す
こういう人が動くと、細かい部分から水が漏れて
必ず失敗します
なので
二人必要なのです
大きく見て、夢を語る、誰もが考えなかったようなことを考え
方向付けをする、翼のような役と
細かいことをしっかりと詰めて、
コツコツと夢を現実化していく、腕のような役と
翼は天使のように背中に生えているのではなく
鳥のように、腕の代わりに生えているもの
翼のあるものには、腕が無く
腕のあるものには、翼がありません
私も、義時同様、翼がないタイプです
……翼のない義時は
第1回では、反乱を起こす、という兄や友人に
「一体何が嫌なのか」と聞いていました
平家の世でも、無事に収まっているのだから
いいではないか、と思っているわけです
翼をもたないタイプの義時には、翌年の飢饉は予測できても
坂東を坂東武者の国にする、という
大きなビジョンは持てなかったわけです……
ですが、翼をもった兄から、将来のビジョンを受け継ぎました
しかも、兄が死ぬことで
そのビジョンは、決して手放すことのできない
鎖のようなものに変わりました
うまいなぁ、と思いました
人間って、こうだよなぁ、とも思いました
このドラマは、大河ドラマではありますが
時代考証はこの上なく正確ですし
資料のない部分は、見事なまでの想像力で穴埋めをしていますし
何より、登場人物一人一人の、人間が良く描けています
今からではありますが
録画して、永久保存版を作ろうと思いました
これは、おそらくあちこちに伏線が張り巡らされた
かなり緻密なドラマになりそうです
一度見て、終わりにしてしまうには、あまりに惜しいです
さて、今日の支出ですが
昨日の予定通り、今日はノーベイデイで
済ませられました
この分なら
今期は、少し多めの黒字が残せそうです
残額(2月14日まで)
消費 13656円
コロナ支援費 2000円
投資 4421円
予備費 4000円
家管理費積み立て 2千円
ボーナス 30000円
貯金総額
プール貯金 31146円
自分小遣い 1612円
家管理費積み立て 5万2千円
定年後用貯蓄 434万5千円
目標残額 1565万5千円