大河ドラマ・鎌倉殿の13人・レビューと感想 第9回 決戦前夜
前回、頼朝軍は鎌倉に入り
かつて、石橋山でさんざんにまけた相手に
見事リベンジを果たしたところまではいいのですが
頼朝の敵方に回ったのが、頼朝が北条につくまえに
後ろ盾にしようと思い、近づいた「伊藤」の一族
その中の娘、八重とは、父親が不在の間に勝手に結婚し
隠れて子供まで作っていたのですが
八重の父親、伊藤の当主が大激怒
頼朝の人間性の卑しさから、娘との結婚は認めず
孫にあたる頼朝の子も、殺してしまった、という過去があります
戦には負けても、頼朝に娘はやらない
そのくらいなら、と、娘・八重の夫に殺害を命じます
前回は、夫が刀に手をかける所で終わっていました
今回は、その続きなのですが
これは、ちょっと先が見えていました
夫が、八重にべたぼれで、あなたを殺すなど、とてもできません宣言
……この、八重の夫はもともと伊藤の家人
八重は、夫だと思ったことは一度もない、召使だと言っていました
これ、何かに似ていませんか?
私は見ていて、ずつと「春琴抄」を思い出していました
美しいけれど、傲慢で、冷酷で、わがままな女主と
その使用人の間の、恋愛、というよりもSM関係
「春琴抄」では、女主の春琴は、下男の佐助の子を産みますが
この八重は、徹底的に見下されるだけなのですが
それでも惚れている、というのだから
まあ、Mなのでしょう
そういえば、ちょっとMっ気のある男を描いた
つかこうへいの名作、「鎌田行進曲」の主人公
ヤスとも、少し似ていますね……
結局、この夫は
八重を頼朝に渡すくらいなら殺せ、という伊藤の当主の厳命をうけた
鎌倉版の「忍び」のような仕事をしている
家人の善児(この人は、さすがにオリジナルの人物ですが)に
殺されてしまい、次は八重、と狙ったところで
主人公・義時が助けに来て
八重の命は助かり、伊藤の当主も生け捕りになり
この当主は、よその家に預けられるのですが
……この人も、死亡フラグが立ちました
というよりも、「闇討ち」フラグというべきでしょう
第一話で、この人に所領の土地を取られたと
誰彼構わず泣きついていた、落ちぶれ武者を頼朝が雇い
「伊藤を殺せ」と命令しています
来週か、その次あたりで、この伏線が効いてくると思います……
で、この八重ですが
頼朝のところにはいかない、と言ったはずが
頼朝とよりは戻さないけれど、そばにいたいから
鎌倉の御所で使ってくれ、と言い出します
……この「八重」役の女優さんは新垣結衣サン
人気の女優サンなのに、
どうしてこんな不快な役を受けたのか
八重のアンチが増えているそうですが
確かにそうでしょう
おそらく、今後なにか「そう来たか」と
思わせるような、超展開があるのではないか
予想しているのですが
本当に、不快なキャラです
私が特にいやだと思うのが
子供に対する愛情が全くないことです
お寺に預けた、と聞いた時も
子供に会いに行くわけでもなく
寺に出かけたのも政子に会うため
しかも、その理由が、夢に頼朝が出てきた、と
「私の方が愛されているのよ」のマウントを取りに来た
政子の子供を見て、初めて自分の子供を思い出して
会いたいわ、と言い始める
何も、子供の菩提を弔って尼になれ、とはいいませんが
母親って、こんなに薄情なものですか?
頼朝のことは追いかけますが
もうほかの女と結婚して、子供までいる
「ほかの女のもの」です
坂東武者は、厳格な一夫一婦制
自分が追い回していては、男にとって迷惑だ
相手の家庭を壊す、ということもわからない、というよりも
考えもしないのですから
ここまで行くと、わがままもちょっと立派です
他人の亭主にちょっかいを出すような不倫女というのは
なるほど、こんなことを考えているのか、と
妙なところで勉強になったりしています……
一方、軍のほうですが
頼朝軍は、甲斐にいた源氏の血筋の武田軍と手を組みます
その話をつけに行ったのが、義時の父・愛すべき田舎おやじ‣時政ですが
この時政は、根が単純で善良な、田舎おやじさんですから
こういう、他人の裏をかくような交渉ごとにには向きません
まんまと裏をかかれて
武田は、一足先に、静岡の富士川に進軍してしまいます
それを聞いた頼朝は激怒して
「政子の父でなければお前など、とうに放り出しておるわ」
と、怒鳴りつけます
……これはまずいですよ
そもそも、外交交渉に一番向いていない人を
外交に行かせたのですから、これは頼朝の人事ミスです
「適材適所」ができないのでは、リーダーの器ではありません
それに、自分より年上の人を完膚なきまでに怒鳴りつける
しかも、人の見ている前で
こういうやり方は、人のプライドをムダに傷つけますし
やられた方は、生涯忘れません
これは、将来源氏が絶えても、気の毒だと思わせないように
作者が作った伏線なのかな、とも思うくらいでした……
仕方なく、頼朝軍も富士川に向けて進みます
川沿いで、武田と合流し、とりあえず大将同士で酒宴となりますが
ここで、鎌倉から連れてきた坂東武者からの不平が出ます
ここまで来るのも大変だったのに
自分たちは放り出して、酒なんぞ飲んでやがるのか
自分たちと飲んだのはたったの一度ではないか
バカにするのもいい加減にしろ
坂東武者が軽く見られるのは、ガマンならん
ということで、迎えに行ってきてくれと言われたのが
なんと、愛すべき田舎おやじ・時政です
痛恨の人選ミスでした
迎えに行ったはずの時政は、一緒に飲もうと大将ズに誘われ
気が付いた時にはベロンベロン
酒がうまい、とすっかりご機嫌です
ところが、これは武田のカムフラージュ
頼朝を出し抜いて、平家に夜討ちをかけ
武田の名をとどろかすための作戦でした
すっかり準備の整った武田軍を見て
初めて、自分の失敗がわかった時政は
気の毒なくらいにしょげ返ります
幼馴染の、三浦義澄に「しっかりしろ」と叱られ
「思いっきり、俺をひっぱたいてくれ」と時政
で、ひっぱたかれると、やりやがったな、と
おっさん二人が、川でじゃれあいのような殴り合いを始めます
すると、このおっさんズの悲しい水遊びに驚いて
富士川の水鳥が、一度に飛び立ちます
かの有名な、水鳥の羽音に驚いて平家の大軍が逃げた「富士川の合戦」
わけのわからない功労者は
愛すべき田舎おやじ・時政と、その幼馴染・義澄でした
……案外、本当にこんなものだったのかもしれないと思いました
かなりいい加減ではあるのですが
夜討ちというのは、相手の不意を衝く攻撃
なので、絶対に相手には悟られてはいけない
馬の足音がしないように、ひづめを藁で覆って「わらじ」をはかせ
馬が鳴かないように、板を噛ませ
静かに静かに近づいて、さあ突撃、というときに初めて
おおっ、という鬨の声を上げるわけです
そう考えると
相手の陣に近づくどころか、その30分か、1時間前に
バサバサと水鳥の羽音などを立てさせては
敵方を起こしてしまい、反撃の準備をさせてしまいますから
結果オーライとはいえ、夜討ちとしては失敗だったのではないか
思っていました
なるほど、一見ふざけているように見えて
本当に、こんな「ヒョウタンからコマ」で
勝ちを拾っただけの戦だったのかもしれませんね……
戦には勝ったというのか言えないのか
でもまあ、終わりよければなんとやら、で
この勢いで、京にまで攻め上ろうとする頼朝ですが
坂東武者が、全員、これを拒否
鎌倉に帰ってしまいます
理由は、兵糧
そういえば、第一回で、主人公・義時が
「飢饉がくる」と言っていましたね
予想通り、飢饉が来て、兵糧が不足し始めたわけです
それに、坂東武者に一番大切なのは領地と一族
領地が取られそうだから戦おうと思っただけで
清盛が憎くて戦っているわけではない
……はい、いちいちごもっともです……
武田もおそらく同じ理由で甲斐に帰りましたし
頼朝も、坂東武者がいなくては手も足も出ません
主人公・義時に、おまえは坂東と頼朝とどちらを取る、と聞きましたが
義時は、困ったように口ごもるばかり
頼朝は、自分は一人だ、と孤独をかみしめるのですが
……ざまぁ、ご覧あそばせ!!
当たり前ではないですか
何を、悲劇の主人公ぶっているんだか
この頼朝は、坂東武者を大事にしません
敵に回った伊藤の当主が言う通り
「血筋を鼻にかけて、見下してい」ます
両者の間の隙間風にも、気づきさえしません
酒食をともにしたり、同じところで眠ったりすれば
少しは一体感のようなものも作れたのでしょうが
一緒に飲むのは大将同士だけ、
寝るときは自分だけが屋根のある寺
坂東武者をないがしろにされるのはいただけない、と
言われているくらいですから
これで、棟梁の血筋だろうと、何だろうと
ついてくる人がいるわけがありません
それに、愛すべき田舎おやじ・時政に対する態度もあります
こうしたパワハラは、見ていて気持ちはよくありません
私は、特にこの種のハラスメントが大嫌いですから
内心、この人ヒステリー、人の上に立つ器ではない、と
表に出さないように、静かに軽蔑すると思います
その、「自分の非」が全く分からないのが
本作の頼朝らしいといえば、らしいのですが……
そこに、飛び込んできたのが
もっとややこしい、災いのタネ
源義経です
坂の途中から、兄上! 兄上!と大声で叫ぶのが聞こえます
対面したとたんに、兄上だなぁ、と泣きだしてしまう
盛り上がっているのは義経とその家来だけで
頼朝も、主人公・義時も、ただただ当惑しています
兄弟である証拠をお持ちですか、と
主人公・義時が恐る恐る聞いてみると
義経の答えは、顔 顔がそっくり、とのこと
頼朝の困惑は一層深まり
そうかな、などと弱り切っているのが、なんともおかしくて
私は、ここは爆笑しておりました
結局、平泉で義経をかくまっていた
藤原秀衡からの手紙が証拠となりました
義経と頼朝は抱き合って
再開の感激の涙を流すのですが
……うわぁ、なんて不穏なんだ
この義経は、まともではありません
この、再会の仕方からもわかるように
周囲を見ることが、全くできません
衝動的で、他人と協同することもできないでしょう
ついていくのが精いっぱい、でしょうが
この義経は、前回でさんざんな人間としての欠落
「人殺しをしてはいけない」ということを知らない
知っていても気にしない
幼児が、セミの羽根をむしって遊んだり
アリを踏みつぶして面白がるのと同じような
子供と同じ、残虐性を持ったまま大人になっている
しかも、だまし討ちが上手な戦術家
頼朝も、通常の精神状態なら
義経の異常性に気が付いたでしょうが
たまたま、妙な孤独感に浸っていて
誰も自分を支えてくれない、などと言っているので
この、モンスターの奇妙さに目をつぶって受け入れてしまった……
大きなゴタゴタのタネが撒かれました
それにしても、こうしてみていると
歴史というのは、原因と結果がはっきりした
「因果の糸の組み合わせ」だと思います
この複雑な時代の、多数の登場人物を
こうも鮮やかにまとめ上げる、脚本の見事さに脱帽です
さて、今日の支出ですが
さすがになくなってきた朝食用のパンと牛乳
チーズと果物を買い込んできました
生協と合わせて、まあ、こんなものかなと思います
支出
消費(食費) 2586円
消費(生協) 2735円
残額(3月10日まで)
消費 3869円
コロナ支援費 0円
(キャリーオーバー 0円)
投資 94円
予備費 3280円
家管理費積み立て 2千円
ボーナス 30000円
貯金総額
プール貯金 46146円
自分小遣い 2536円
家管理費積み立て 5万6千円
定年後用貯蓄 434万5千円
目標残額 1565万5千円